キシリトールは虫歯にならない?
2017年07月15日
キシリトールは虫歯にならないというのは本当ですか?こういった質問を患者さんから受けることがあります。今回はこのキシリトールについて説明していきます。
キシリトールとは?
キシリトールが日本で認可されてから約20年経ちます。キシリトールガムはご存知だと思いますが、最近ではガムの他にタブレットやグミ、さらにはクッキーなども売られています。
キシリトール自体は、糖アルコールの一種で天然の代用甘味料です。白樺やとうもろこしの芯を加工して作られているものを使っています。代用甘味料は他にもソルビトール、マンニトール、マルチトールなどがあり、多くの食品に使われています。
なぜ虫歯予防に効果があるのか?
キシリトールが虫歯予防に効果があると言われる理由はいくつかあります。
歯を溶かす酸を作り出さない糖である。
ここで先ず虫歯が出来る過程についてお話します。虫歯というのは、虫歯菌が直接歯を溶かしたり穴をあけているわけではありません。虫歯菌が代謝をおこなう過程でショ糖などの糖を分解します。その時に生成される酸(主に乳酸)によって歯を溶かしているのです。
ですが、キシリトールはミュータンス菌によって分解されることはなく、酸が全く生成されません。そのために虫歯ができない糖と言われています。
虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を甘味料の中で唯一弱められるという性質がある
先ほど説明したように、ミュータンス菌はキシリトールを分解することができないので酸を作り出すことができません。ですが、ミュータンス菌はキシリトールをどんどん取り込むので、糖代謝が阻害され、ミュータンス菌の働きが弱くなってしまいます。そのため、長期的にキシリトールを取り込んでいるとミュータンス菌の繁殖力が弱まっていき、虫歯のできにくい口腔内の状態になるのです。これが、キシリトールが虫歯予防に効果があるという理由です。
注意して頂きたいこと
これまでキシリトールは虫歯予防に効果があるという説明をしてきました。しかし、キシリトールを摂取していれば虫歯にならないわけでも、虫歯が治るわけでもありません。同時にショ糖などのミュータンス菌が好む糖を含む食品を摂取していると虫歯になってしまいます。
キシリトールはあくまでも補助的な予防であって、虫歯をきちんと予防するには歯磨きの方が大切です。さらにいうと、口の中になるべく糖分を残さないようにすることが虫歯予防には大事なことです。糖分の入ったお菓子や飲み物(ジュースだけでなく、コーヒーや紅茶も)を口にしたら水を飲むなどして、なるべく口の中に糖を残さないようにしましょう。その上でキシリトールを摂取するとより一層、虫歯の予防効果を期待することが出来るのです。
そのほか虫歯を予防する方法として、歯科医院での定期的な検診(フッ素塗布など)をする、間食をあまりしない、甘いものを食べ過ぎない、唾液の出をよくする、規則正しい食生活を送るなどがあります。
最後に、キシリトール自体は予防効果としては十分期待が出来ますので、1日1~3粒を目安にして継続して摂取することをお薦めします。ただし、一度に大量に摂取するとおなかが緩くなることがあるので、摂りすぎには注意しましょう。
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