セレックインレーの症例
2017年11月20日
今回はセラミック治療の1つであるCEREC(セレックについてはこちらを参照ください)治療の中で、歯の一部分を削って行うインレーの症例をご紹介いたします。
この方は矢印の部分の詰め物の一部が割れた(ひびが入った)とのことで来院されました。もともとここにはセラミックのインレー(一部分的な詰め物)が入っていてその一部に亀裂が入っている状態でした(他院にて2~3年前に作ったとのこと)。外してきれいにした状態がこちらです。
綺麗に形を整えましたが、今まで入っていたものと形は大きく変わりはありません。
このまま作っただけではまた割れてしまいそうです。ではなぜ割れたのかを考えると、上の歯の影響が考えられました。噛み合わせたときの横からの写真がこちらです。
矢印の上の歯が下の矢印の歯の亀裂のある部分に対して噛みこんでいるのが解ります。この噛み合わせの影響で割れたと思われます。なので上の歯の噛み合う部分を少しだけ調整して作って行きました。
完成後の状態がこちらです。
境目も判らないくらい調和して入れることが出来ました。
今回かかった費用に関してはセレックインレー1本で4万円(+税)になります。
治療回数は1回(約70分)です。
患者様にも同様の説明し、とても納得&満足されたので私としてもとてもよかったです。
ただ、この方は噛み合わせの他に歯ぎしりもされている方なので今後も注意は必要です。
ここからはセラミックインレーについて少し詳しくお話をします。
セラミックで治療する際の装着するものを大きく分けると、①クラウンタイプ②インレータイプ③べニアタイプに別けられます。
①クラウンタイプとは俗にいう差し歯に当たり、歯を全体的に覆う人工歯のことをいいます。
②インレータイプとはクラウンタイプとは違い全体を削らずに噛み合わせの面を中心として一部分だけ削って、そこにはめ込む形の人工歯のことを言います。
③べニアタイプとは主に前歯に用いられる手法で、歯の色などの見た目の改善をしたい場合に行うことが多いです。歯の表の面を一層削り、そこに張り付けるようにしてつける人工歯のことを言います。
今回の症例のインレータイプは、実はCEREC治療で作る場合、作る側からしたらクラウンタイプに比べて難易度は上がります。
理由の一つとして、マージン(歯を削った部分の境目)がインレーの方が複雑であることです。
下の写真を見て頂くとわかりますが、クラウンタイプが円形であるのに対してインレータイプは削り方次第で多種多様です。
●クラウンタイプのマージン
●インレータイプのマージン
セレック治療はコンピューターを使って作るのでこのマージンが複雑になると、コンピューターがうまく読み取ってくれないことがあります。なのでコンピューターがうまく読み取ってくれるように削って形作る必要が出てきます。
さらにクラウンタイプは周りの歯と調和した形で作っていくのに対し、インレータイプでは周りの歯との調和+支台歯(削った歯)との調和も考えなければなりません。うまく設計しないと、削った部分に段差が出来てしまうこともあります。
また設計によりますが、インレータイプの方が薄くなる部分が発生しやすいので割れるリスクが高くなり、(削る段階からの)設計が非常に重要になってきます。削る量が少ないと仕上がりのものが薄くなるので割れる原因になり、厚みを出すために削る量を多くすると、神経がある歯の場合、治療後に痛みが出やすくなります。そういったバランスを考える必要がある分、インレータイプは難しいです。
今回はインレータイプのセレック治療をご紹介いたしましたが、歯科医師目線での話もさせて頂きました(少し難しく感じた方は申し訳ありません)。今後も色々な治療をご紹介して行きたいと思います。
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