子どものときの方が、大人になってからよりも歯医者でむし歯治療を受けた記憶がある方もいらっしゃることでしょう。それは乳歯が永久歯よりもむし歯になりやすいことを物語っています。実際、乳歯はエナメル質が永久歯よりも薄いため、むし歯になるとすぐ象牙質に達しやすくなっています。
また、不充分なブラッシングや生えたての歯は組織が未熟であることも、学童期のむし歯原因の一つに入るでしょう。乳歯のときからむし歯にならないようにお口の健康づくりを推進することで、永久歯になってからも虫歯にならない歯でいられる下地作りが出来ます。
乳歯には大事な役割があります
乳歯はいずれ永久歯に生え変わります。しかし、だからといって大事にしなくていいわけではありません。重度のむし歯になってしまうと、下に控える永久歯に影響を与えたり、適切な時期に生え変わりが起こらず歯並びが悪くなってしまいます。
乳歯を大事にケアすることで永久歯も健康な状態からスタートすることができ、将来にわたって虫歯になりにくい環境を作ることが出来ます。
乳歯をむし歯から守るには・・・
1 フッ素塗布
むし歯を予防する方法の一つに歯質の強化が挙げられます。歯磨き粉にも含有されているフッ化物は歯に取り込まれることで歯質を強化する働きがあります。
歯科医院では、市販の歯磨き粉よりも高濃度のフッ素を使用します。乳歯や生えたての永久歯はこのフッ素を取り込み易いので、幼児期〜学童期にフッ素を塗布することは大変効果的です。ただし、しばらくすると効果は減退してくるので何度か繰り返し塗布する必要があります。3〜4か月毎に塗布するペースが推奨されます。
2 シーラント
歯科医院でできるフッ素塗布以外のむし歯予防にシーラントがあります。シーラントは歯科用プラスチックでむし歯になりやすい歯の溝の部分を埋める処置です。これにより、食べかすが溝に詰まりにくくなり、その部分の虫歯を防ぐことが出来ます。
特に臼歯の永久歯の咬合面は複雑な形をしていて溝が多く、綺麗に磨くには充分なケアを必要とします。奥歯の永久歯が生え始めるのは5歳後半〜6歳後半が多いので生え始めたら早めに歯医者さんに相談することをおすすめします。
3 糖質の管理
虫歯というのは虫歯菌が関わっているのはもちろんですが、虫歯菌がいるだけでは虫歯はできません。歯・菌・糖質が揃って初めて虫歯になる環境が整います。つまり、このうちの1つでも欠けると虫歯になりません。
このうち唯一管理し易いのが糖質です。管理の仕方としては歯磨きの他に、間食(お菓子など)をする時間を決めたり、甘い飲み物を飲んだら口をゆすぐなど、なるべく口の中に糖質が残らないように気を配ることで虫歯の発生を抑制することが出来ます。
これはご家庭でも簡単に出来ますので、今からでも取りいれてみてください。