顎関節症

顎関節症とは

顎関節症という病気について「詳しい病態はわからないけど、名前は知っている、聞いたことがある」という方は多いのではないでしょうか。顎関節症とは、あごの関節やその周辺に何らかの問題があって、「顎(あご)に痛みがある」、「口を開くことができない」、「あごをうごかすとカクカクと音がする」などといった症状がみられる病気とされます。その他、耳鳴りや目まいや頭痛、または長く続く歯の痛みのような症状が出ることもあり、不定愁訴を併発する事が多くあります。

顎に何かしらのトラブルをもつ人の数は、私たちが思っている以上に多いようで、人口の半数以上ともいわれています。このうち病院で適切に治療を受けている人は、およそ10%未満だとされます。男女の間で発症率に差はないといわれる一方で、治療している方々の多くは女性で、男性の2~4倍といわれます。また、20代~30代の女性に多いのが特徴です。

顎関節症の症状

顎の症状として以下の3つが代表的な症状といわれています。

  • 1. 顎が痛い(顎関節痛)
  • 2. 口が開かない(開口障害)
  • 3.顎をうごかすと音がする(顎関節雑音)

顎関節症を起こしやすい因子

噛み合わせ・歯並びが悪い

この「噛み合わせの問題」と「顎関節症」は切り離せない関係にあるといわれています。詳しい原因がなかなか把握しにくいといわれる顎関節症ですが、多くは噛み合わせの不良によっておこるものと考えられているようです。
噛み合わせが悪ければ、関節やまわりの筋肉にアンバランスな力が加わり、顎関節症だけにかぎらず、首の筋肉の疲労、歯がすり減ってしまうなどのさまざまな病態を引きおこすとされます。

歯科治療を受けたとき

歯科の治療は歯と口の周りの筋肉や顎を開けている状態になります。そのため顎関節症を誘発することもあります。
また、治療した歯が多いほど噛み合わせのバランスがくずれやすいです。咬みあわせの調整をしても食べるのがままならず、不定愁訴になるということもあります。


首や肩のコリ

顎関節症では、首や肩のコリから付随して起こることがあります。また、逆に顎関節症が原因で首や肩コリ・肩の痛み、さらには手足のしびれといった全身的な症状に発展するケースもみられるといいます。

食事の際、片側ばかりで噛む癖がある

偏咀嚼(へんそしゃく)ともいわれています。いわば、左右で均等に食べものを噛まずに、左右のどちらか一方だけで食べものを噛んだりといった癖や習慣があると、やはり顎の関節や筋肉にアンバランスな力が加わり、結果的に負担が生じて顎関節症を発症させる引き金になるといわれます。


食いしばりや歯ぎしり

食いしばり、あるいは歯ぎしりといった状態があると、顎の関節につよい負担がかかるといわれています。顎の関節のなかには、関節円板という軟骨があり、顎のうごきをよりスムーズにしてくれるはたらきがあります。しかし関節円板を支えている周辺の組織や筋肉に緊張が加わると、関節頭のうごきをうまくサポートできなくなるといわれています。

顎や顎周辺の筋肉に負担をかける癖や習慣

そのほか、顎関節症をおこす可能性があるといわれる習慣に、うつ伏せで寝る、頬杖をつく、顎の下に電話を挟んで話す、あるいは猫背なども好ましくない癖や習慣だとされます。

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療においては、「治療による効果が得られなかった場合に、できるかぎり被害の少ない治療法を選択する」というのが、現在の医学的な治療方針だといわれています。

そのため、歯を削るなどの治療法はもしも効果が得られなかったときにやり直しがきかないこともあり、第一選択肢として用いられることは少ないです。よく用いられる治療法とされるのが以下のものになります。

  • スプリント療法(マウスピースの使用)
  • 習慣や癖などの生活スタイルの改善
  • マッサージによる治療
  • 開口訓練(筋力トレーニングなどのリハビリ)
  • 薬の服用、貼付

多くの場合は、こういった治療によって、症状が改善もしくは無くなることもあるといわれています。 ただこれで改善しない場合は、咬合調整(歯や被せ物を削ったりすること)や顎関節に対して外科的な治療が必要になることがあります。
最後に、顎に何かしらのトラブルを抱えている方は早めに歯科に受診されることをおすすめします。

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