祐天寺ブライト歯科ブログ

糖尿病と歯周病

2017年05月23日

現在糖尿病にかかっている、もしくは疑われる方はどれくらいいるかご存知ですか?

 

 

厚生労働省の平成24 年国民健康・栄養調査の糖尿病に関する状況によると、「糖尿病が強く疑われる人」は約950 万人、さらに「糖尿病の可能性を否定できない人」が1,100万人と推計され、成人の5 ~ 6 人に1 人は糖尿病あるいは可能性がある状態であることが報告されています。

 

 

糖尿病は、インスリン(インシュリン)という血糖値を下げる働きを持つホルモンの作用が不十分なために、血液中のブトウ糖濃度が高い状態になってしまう病気のことです。糖尿病にかかっている方は歯周病を発症するリスクが高くなり、特に重度の歯周病になると糖尿病が悪化(重症化)するリスクが高くなることが研究により明らかになっています。糖尿病の患者は健常者と比べて以下のことが挙げられます。

 

 

 

 

・歯周病になり易い

・歯周病が重症化しやすい

・糖尿病にかかっている期間が長い人ほど歯周病の罹患率が高い

・血糖コントロールがうまくいかない(高血糖状態)人ほど歯周病が重症化しやすい

糖尿病になると歯周病になり易いというお話をしてきましたが、なぜそういったことが起こるのか?糖尿病と歯周病の相関関係についてみていきましょう。

 

 

 

 

 

 

免疫力が低下する

 

 

糖尿病になると、細菌を貪食する働きをしてくれる好中球(白血球の一種)の働きが鈍化します。それによって体内の感染防御機能が弱くなってしまう(免疫機能の低下)ため、さまざまな感染症にかかりやすくなるのです(歯周病も感染症です)。細菌の活動が活発化すると、通常はそれに抵抗しようとする人体の作用が働きますが、糖尿病になるとこの働きが低下するので歯周病になりやすくなります。

 

 

組織の修復機能が低下する

 

高血糖状態になると組織を修復する機能が低下することがわかっています。人間の体は新陳代謝により老化して壊れた(死滅した)細胞の数だけ、新しい細胞が作られて破壊と修復のバランスを保っていますが、糖尿病によって組織の修復機能が低下すると「修復」が「破壊」に追いつかなくなるため歯周病が進行しやすくなります。

 

 

 

このように糖尿病が歯周病にもたらすリスクについて述べてきましたが、逆に歯周病が糖尿病に与えるリスクもあります。

 

 

・歯周病が重症化した人ほど血糖コントロールがうまくいかない

・歯周病の人はそうでない人に比べて糖尿病の指標であるHbA1Cの値が高い

・糖尿病の人が歯周病を治療すると、HbA1Cの値が改善する

 

 

 

 

歯周病によって糖尿病が悪化する主な理由としては・・・・

 

 

 

 

 

 

インスリンが作りにくくなる

 

 

歯周病が重症化すると、細菌から出される毒素が歯茎の毛細血管から血液中に入り込むことがあります。この時、人体は毒素に対抗する物質(サイトカインと言います)を出すのですが、この物質がインスリンを作りにくくしてしまうため、血糖値が下がらなくなってしまうのです。血糖値が高いと、さまざまな合併症(網膜症、腎症、神経症、動脈硬化症など)を招きやすくなります。

 

 

さらに、インスリンが作りにくい状態が続くと、今度は体がより多くのインスリンを作り出そう過剰に頑張ります。するとインスリンを作り出す細胞がオーバーワークとなり、分泌機能そのものが低下してしましい、糖尿病が悪化してしまうのです。

 

 

また、歯周病が重症化してくると歯周病菌自体が血管内に入り込んできます。ある研究機関の報告によると、動脈硬化症の患者の血管を調べたところ、血管の内壁から歯周病菌が検出されたという事実があります。

 

 

このように、糖尿病と歯周病には密接な関係があります。

「視力が落ちる(網膜症)」「腎臓が老廃物をろ過できなくなる(腎症)」「手足がしびれる(神経症).」といった合併症を招くことがある糖尿病ですが、適切な治療によって歯周病が改善されれば、糖尿病も改善傾向を示すという論文も出ています。

 

 

歯周病と糖尿病、どちらも改善していくためにも、適切な歯周病治療に行うようにしましょう。

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